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第136話

目も鼻も真っ赤にして、時折思い出したように ひっく としゃくり上げている智の顎をくいっと持ち上げて、唇にそっとキスをした、 かわいくて、一途で、不器用な愛おしい(ひと) 「お前なんか嫌いだって言われても、一生離してやらない。俺の側にいてくれ。」 「…一生離れてやらない…」 小さな声でささやかれ、ますます愛おしさが募る。 「しばらくこうしていてもいいか?」 ぎゅっと抱きしめる俺に、赤い目元を更に赤く染めて智がささやく。 「…翔…仲直りしたい…だから…」 ん?それって…まさか、定番の『仲直りエッチ』? 智からのお誘いかっ! ヤバい…鼻血が出そう……. 舞い上がる俺自身は、そのたった一言で ぐんと(かさ)を増し、それに気付いた智は顔を朱に染めてもじもじし始めた。 「ああ、そうだなっ、仲直りなっ!」 俺は嬉々として智の鼻にキスをしてから、着ているものをものの数秒で脱がせ、自分の服も引きちぎりらんばかりの勢いで脱いだ。 髪の毛を撫で、泣き濡れて腫れた目に唇を付け舌でそっとなぞっていく。 塩っぱい涙の味が舌に広がる。 「泣かせてごめんな。」 心からの謝罪をして、次々にキスの雨を降らせる。

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