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第138話

今日は智が望むように抱いてやろう。 「智、優しいのと激しいのとどっちがいい?」 「…優しいの…」 よしよし、わかったぞ。うんと優しくな。 「智…」前髪をかき上げて、おでこにキスをする。 智の長い睫毛が震え、頬が紅潮してなんとも言えぬ色っぽさが漂う。 ぺろりと鼻の先を舐め、目を合わせて笑い合う。 愛しい(ひと)と睦み合うのはなんて幸せなんだろうか。 「仲直りのやり直しだよ。」 啄ばむようなキスを繰り返し、くすぐったがる智の頬を両手で挟み、唇を食む。 お互いの息がだんだん荒くなり、開いた唇の隙間に舌を這わし、歯肉をなぞる。 逃げる智の舌を追い回し擦り上げると、糸を引いてこぼれ落ちるお互いの唾液が、レースのカーテン越しに差し込む夕日を受けて、胸元で光っている。 高まる鼓動と吐き出される熱い吐息が、否応なしに二人の欲望を引き上げていく。 ああ、こんなにも他人(ひと)を愛することができるなんて。 前世で結ばれぬ恋人だったのか、今世で分かれた一つの魂だったのか。 愛してる、愛している 智の縋るような瞳に煽られ、鎖骨に赤い印を付けたその時 智の携帯の着信音が響いた。

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