145 / 516

第145話

思い切り甘えた声で謝罪する。 「ごめん、俺が悪かった。もうしないから許して?」 大きく溜息をついて智は冷たい視線のまま、 「だから、痛いのは嫌だって言ってるじゃないか。 昔…小学生の頃、イタズラされそうになったことが何度かあってさ。 俺って、割と女顔で、小さい時は人形みたいとよく言われてて、そういう対象に狙われたんだろうな。 相手は大人だったから力も強いし、跡がつくほど手首引っ張られて…痛くって。 痛みはトラウマなんだ。 それでも危機一髪で、 脱がされる寸前とか、車に押し込められる前に、誰かが助けてくれて無事だったんだけど。 それで自己防衛のために、空手、合気道、少林寺拳法、剣道、柔道…あらゆる武術を習って、今まで自分を守ってきたんだ。 痛みで、その時の恐怖がフラッシュバックすることがあるから… 学生の頃は、何人かに強姦(まわ)されそうになって、そいつらボッコボコにしたし。 何度かそういうことがあって、誰も手を出さなくなったけど、ケンカが強いって守が言ってたのは、そのせいだよ。 ホントはケンカじゃない。強姦未遂だよ。 強くならないとヤられちまうから、必然的に強くなっただけ。 この間は、薬盛られて自分の心は全力で拒否してるのに、身体は反応して本当に怖かった… 俺っておかしいんじゃないか、淫乱なんじゃないかって…

ともだちにシェアしよう!