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第149話

ダメだ。 思ってることは全部伝えて、分かり合わないと。 俺は智から少し離れて立ち上がった。 「なあ、智。」 「んー?」 「なんか…避けられるような気がする…俺の気のせいか? さっきも、抱いてもすぐ逃げていったし、今も距離を取られてるような気がする。 …俺のこと、嫌いになったのか?」 「えっ…」 『まずい』という顔をして、俺を見たまま固まった智は、大きく息をついた。 「いや、えーと、あのー、んー、そうじゃなくって…」 口ごもって黙ってしまった智の、次の言葉をドキドキしながらじっと待つ。 智の顔が、だんだん赤くなってくる。 「あの…なんと言えばいいのか…恥ずかしすぎて…」 「恥ずかしい?」 「うん。 朝 目が覚めたらお前の胸に抱かれててさ、その状況に なんかすっごく照れちゃって… ほら、俺いつも潰れちゃって、起きた時にはもう、お前横にいないじゃん? お前、幸せそうな顔して、笑いながら寝てるんだよ。 あー、いつもこんな顔して寝てんのか…じゃあ俺はどんな顔して寝てんだろ…バカ口開けて、涎垂らしてないよな…とか思っちゃって。 こいつのことマジで愛しちゃってるなぁ…、幸せだなぁ…って… そしたら、急に恥ずかしくなってきちゃって… ん?翔?どうした?」

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