150 / 516
第150話
『愛されてる』
強烈にそう思ったら、ホッとしたのと同時に不覚にも涙が溢れてきた。
「翔?」
智が立ち上がりすっぽりと俺を抱き込んで、濡れた頬にキスをしてきた。
「ホントに泣き虫だなぁ、お前。」
クスクス笑いながら、俺を抱きしめたまま あやすように左右にゆらゆらと揺らす。
「昨日のことがあったから…もう、愛想尽かされたと思った…」
「だから…ずっと『愛してる』って言ってるじゃないか。
ん?翔…当たってる…」
「うわぁっ!ごっ、ごめん」
慌てて離れようとしたが、智にそれ以上に強い力で引き寄せられ、耳元でささやかれた。
「翔…シようか?昨日のやり直しだ…
でも、」
「『や・さ・し・く』だろ?」
ふっと笑みをこぼした智は、
「シャワー浴びてくる。ちょっと待ってて」
とスリッパをパタパタ鳴らし、バスルームへ消えた。
やったぁー!仲直りエッチだぁーーー!
俺は何度もガッツポーズを繰り返した後、慌てて歯を磨き自分の部屋に戻ると、ローションの位置を確認して…《除菌ティッシュ》で愚息をこれでもかという程 丁寧に拭いた。
そして、ドアを全開にして智を待つ。
はい、俺は準備万端です…
ともだちにシェアしよう!