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第156話
凛はニヤリと笑うと「おやすみのちゅーしてー」とおねだりをして、
「しょう、ふぁいと!」と激励をして、自分の部屋へ戻っていった。
凛に励まされるってどうなんだ?
あいつ、絶対子供の皮被った大人だぞ。
今日は待ちに待った週末で、智は今バスルームにいる。
俺は先に入って、もういつでもオッケー、智カモーン!って感じなんだが…
智は俺を受け入れてくれるんだろうか…
いくら週末とはいえ嫌だと言われたら、また今夜も俺の右手が大活躍するのではないか…
悶々としながら右手を眺めていると
「翔、手、ケガでもしたのか?」
いつの間に上がってきたのか、いい匂いの智がほんのりピンク色の顔をして後ろに立っていた。
「あっ、いやっ、なんでもないんだ。」
慌てて右手をぶんぶん振って、大丈夫だとアピールしてみた。
「そう、じゃあよかった。あれ?凛は?」
「おやすみのちゅーして部屋に行ったぞ。」
「そう、じゃあ、俺も…」
智は迷うことなく凛の部屋へ行ってしまった。
ん?えっ?智?今夜も?
まさか…俺の新婚生活は…
俺が犬なら、見事に耳も尻尾も垂れまくりだろう。
ちょっと涙目になり、ぼすっとソファーに倒れ込んだ。
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