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第167話
夜はどうしても一緒に寝たいと言う翔に押し切られ、手を出さないことを約束させ、同じベッドへ連れていかれた。
「智…ぎゅう していい?」
「嫌だって言っても してくるだろう」
そっと抱き寄せられ、胸一杯に吸い込んだ翔の雄の匂いに頭がクラっとする。
瞬間、熱を帯びる身体と激しくなる動悸に戸惑いながら、何気ないふりをして目を閉じる。
そんな俺の様子に絶対気付いていながら、翔は なにも仕掛けてこない。
ちょっかいを掛けてくるのをいつもウザいと思っているのに、いざなにもしてこないと物足りなく不安に思うこの気持ちはなんだ?
少し顔を上げて目を開けると、じっと俺を見つめる翔の視線とぶつかった。
「あ…」
翔はニヤリと笑うと、
「智…おやすみのキス…」
唇に触れるか触れないかの もどかしいキス。
「智、おやすみ…」
翔はそう言うと、俺を抱き込んだまま目を閉じてしまった。
え…これだけ?なにも…してこない?
肩透かしを食らったように感じ、しばらく目を瞑った翔を 見ていたが、ふっと息を吐くと、身体の奥に燻った火があるのを感じないフリをして、その暖かな胸に擦り付いて目を閉じた。
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