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第174話
こっそりと相沢の後をつける。
後ろ姿もカッコいいなんて、いけすかねぇ。
少し離れて同じ電車に乗り込むと、見失わないように目を離さない。
電車を降りて、人波に飲まれてそれでも付かず離れずついて行く。
しばらく歩いて……
ん?保育所…
あぁ、弟君の子供を引き取ったって言ってたっけ。
お?なかなか美人さんじゃん。
あいつの姪っ子なら美形だよなぁ。
手ぇなんか繋ぎやがって。本当の親子みたいじゃん。
何話してるんだろう。
あ、ずっこけた。チビちゃんに叩かれてるぞ。
心の中で大爆笑しながら向かった先は…
すっげー、高級マンション!
こんなとこ住んでんのかぁー。
手を繋いだままその中へ消えていった。
俺は玄関ホールに入り、しばらくインフォメーションの前に立っていたが、部屋番号がわからない。
「どうかなさいましたか?」
うわー、コンシェルジュいるじゃんか、ヤバイ。
「あっ、いえいえ、友人を訪ねてきたんですけど部屋がわからなくて…電話するんで大丈夫です、すみません。」
とびっきりの営業スマイルで答えると、受付嬢がポッと頬を染めた。
ザマアミロ。
これで落ちない女はいない。
こうなりゃ直接対決だ。
相沢の携帯を鳴らしてみる。
一回、二回、三回、………八回…出たっ!
「はい、相沢です。なんか急ぎか?」
「いやぁ、用事があってこの辺来たらさ、お前がこのマンションに入って行くのが見えたからさ。
今から行ってもいいか?」
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