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第178話
side:翔
秋山とかいう奴を追い出し…いや、見送って、俺は大きな溜息をついた。
「翔、ごめんな。付いてきてたの気付かなかったんだ。
お前が帰ってきてくれてよかった…
俺は、お前との関係を誤魔化すのは嫌だったんだ。」
「智、あいつ信用できるのか?
っていうか、あいつ、お前のこと狙ってただろう。
二人きりにしなくてよかったよ。」
「嘘はつく奴じゃないから大丈夫だと思う。
それに、なに?狙ってた?なんだよ、それ。」
「言葉通りだよ。恋愛対象で見てたってこと。
でも、諦めてくれたみたいだったな…
それに…
お前が隠さないで堂々と言ってくれて、俺、すっげーうれしかったんだ。
泣きそうになったもん…」
「そんなことあるわけないだろう!只の同期だぞ!?
俺だって…お前がきっぱりと言ってくれてうれしかったよ。
おまけに俺のために見知らぬ奴に頭まで下げてくれて。
ごめんな、翔。ありがとう。」
「はぁ、お前…無自覚天然だな…あいつ、気の毒になるよ。
智…大好きだ。愛してるよ。」
「翔…俺も…」
抱きしめ合って…キス。
智の前髪を上げて、おでこにもキス。
名残惜しいけど今はここまで。
これ以上抱き合ってると歯止めが効かなくなる。
「さあ、飯の支度だ!急いで作るから待ってな!」
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