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第179話
なんとなく心がざわついたままの一日を終え、智を抱きしめて一緒のベッドにいる。
鈍感にも程があるだろう。
なんだか秋山が気の毒になる。
きっとあの男は、入社した時から智を思っていたのだろう。
そして結婚したとの噂と指輪を見て、居ても立っても居られずに、堪らずストーカー行為に及んでこのマンションまでつけてきたんだ。
でも、あっさり諦めてくれたみたいでよかった。
それにしても…
智が会社での立場を気にせず、はっきりと宣言したのには驚いた。
今でも智の言葉が頭から離れない。
『俺は…俺達は、月並みな言葉だけど愛し合ってるんだ。
誰かに言いたければ言えばいい。
俺は恥ずかしくもないし、卑下する気持ちもない。』
俺との関係をはっきりと肯定し惑うこともなかった。
神々しいほどに堂々と言い放った智に、俺は愛おしさと感謝と切なさと、いろんな感情が溢れてきて堪らなくなった。
俺の選んだ伴侶は、最高に男前で最高にイカしてる!
俺もこいつに見合うだけの男にならないと…
隣ですやすやと眠る愛しい智の髪の毛をそっと撫でて、俺も今夜は大人しく眠りについた。
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