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第180話

side:智 マジでびっくりした。 秋山が後を付けてうちにまで押し掛けてくるとは。 それに翔が変なことを言うし… 凛までなんだよ。小姑みたいに。 確かに入社当初からベタベタくっついてくるし、やたらとスキンシップの多い奴だとは思っていたけれど。 仕事に復帰したその日から、やたらと指輪を見つめられてるなーとは思っていたが。 俺は…悪いがそういう対象として全く見たことがなかったし、考えたこともなかった。 あの落胆した顔を見た瞬間、ひょっとして…こいつ、おれのこと…とはちらりと頭に浮かんだが、まさかと思っていた。 でも… 翔の顔を見たら腹が座って、怯むことなく言えた。 『俺達は愛し合ってる』と。 翔もはっきりと宣言した上、俺のことを庇って、あんな奴に頭まで下げてくれた。 突然見知らぬ男が押し掛けてきて腹も立ってただろうに、大人の対応だったな。 どんだけ器の大きい男なんだろう。 俺が惚れたのは、やっぱりとんでもないスケールの男なんだな… 今夜はこの温もりに包まれて眠りたい。 俺は翔の胸に擦り寄って、子守唄のような鼓動を聞きながら静かに目を閉じた。

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