180 / 516
第180話
side:智
マジでびっくりした。
秋山が後を付けてうちにまで押し掛けてくるとは。
それに翔が変なことを言うし…
凛までなんだよ。小姑みたいに。
確かに入社当初からベタベタくっついてくるし、やたらとスキンシップの多い奴だとは思っていたけれど。
仕事に復帰したその日から、やたらと指輪を見つめられてるなーとは思っていたが。
俺は…悪いがそういう対象として全く見たことがなかったし、考えたこともなかった。
あの落胆した顔を見た瞬間、ひょっとして…こいつ、おれのこと…とはちらりと頭に浮かんだが、まさかと思っていた。
でも…
翔の顔を見たら腹が座って、怯むことなく言えた。
『俺達は愛し合ってる』と。
翔もはっきりと宣言した上、俺のことを庇って、あんな奴に頭まで下げてくれた。
突然見知らぬ男が押し掛けてきて腹も立ってただろうに、大人の対応だったな。
どんだけ器の大きい男なんだろう。
俺が惚れたのは、やっぱりとんでもないスケールの男なんだな…
今夜はこの温もりに包まれて眠りたい。
俺は翔の胸に擦り寄って、子守唄のような鼓動を聞きながら静かに目を閉じた。
ともだちにシェアしよう!