181 / 516

第181話

side:秋山 逃げるようにあの部屋から出てきた。 押し掛けて行ったはよかったものの、告白の機会すら与えられず、ものの見事に撃沈した。 もともと、相手にはされてない感満載だったし。 相手は…ハイスペックの超イケメン。 敵うわけない。 相思相愛のところを見せつけられた。 他の誰かが入る隙間なんかないくらいに。 初対面の、おまけに俺があいつにモーションかけに来たことに気付いていながら、俺に頭を下げた… すげー、男だよ。 お互いに、あんなに真っ直ぐに『愛してる』なんて台詞が出てくるんだ。 あんなに人を想うことができるんだな。 できるなら、俺がその相手であってほしかった。 素直に羨ましいと思った。 くっそー。 片思いのまま失恋かよっ。 課長…絶対知ってたんだな。 はい、仰る通り、馬に蹴られましたよ。 傷口ぱっくりですわ。 あー、一人では寂しすぎる… そうだ! 峰を呼び出して飲みに行こう! 飲まないとやってられない。 あいつなら俺の愚痴を聞いてくれるはず。 俺は急いで携帯を取り出すと、残業を終えたであろう峰に電話をかけた。

ともだちにシェアしよう!