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第181話
side:秋山
逃げるようにあの部屋から出てきた。
押し掛けて行ったはよかったものの、告白の機会すら与えられず、ものの見事に撃沈した。
もともと、相手にはされてない感満載だったし。
相手は…ハイスペックの超イケメン。
敵うわけない。
相思相愛のところを見せつけられた。
他の誰かが入る隙間なんかないくらいに。
初対面の、おまけに俺があいつにモーションかけに来たことに気付いていながら、俺に頭を下げた…
すげー、男だよ。
お互いに、あんなに真っ直ぐに『愛してる』なんて台詞が出てくるんだ。
あんなに人を想うことができるんだな。
できるなら、俺がその相手であってほしかった。
素直に羨ましいと思った。
くっそー。
片思いのまま失恋かよっ。
課長…絶対知ってたんだな。
はい、仰る通り、馬に蹴られましたよ。
傷口ぱっくりですわ。
あー、一人では寂しすぎる…
そうだ!
峰を呼び出して飲みに行こう!
飲まないとやってられない。
あいつなら俺の愚痴を聞いてくれるはず。
俺は急いで携帯を取り出すと、残業を終えたであろう峰に電話をかけた。
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