182 / 516

第182話

side:智 今日、どんな顔してあいつに会えばいいんだろう。 いや、普通通りでいい… 不安げな顔をしていたのか、翔がそっと俺を抱きしめる。 「智、大丈夫だよ。心配しないで行っておいで。 なにかあっても、お前ら二人ぐらい余裕で食わせていく自信たっぷりあるからな。 なんなら、主夫になってもいいぞ。」 笑いながらウインクされると、霧が晴れるように気持ちが凪いでいく。 「あはっ、それもいいかもな。考えとく。 ありがと、翔。大丈夫。行ってくるよ。」 「さーとーしーはやくー!りん、もういくよぉー」 凛の催促に慌てて靴を履く。 「しょう、いってらっしゃいのちゅーは?」 「はいよ。行ってらっしゃい。」ちゅー。 「智も。行ってらっしゃい。」ちゅー。 朝の恒例のちゅーも、もう恥かしくなくなってきた。 慣れとは恐ろしいもんだ。 「「いってきまーす」」 いつもの一日が始まる。 会社が近付くにつれ、胸がドキドキして緊張してきた。 大丈夫、大丈夫。 ドアを開けると… 机に突っ伏した秋山と峰。 手元には栄養ドリンク。 「おはよう。お前ら、どうしたんだ?」 「「ふーつーかーよーいー」」 「なんだよ綺麗にハモって。二人で飲んだのか?」 掠れた声の秋山が答える。 「うーん、途中までは覚えてるけど…後は記憶がない… おまけになんかさぁ、どっかで転んだのか、腰もケツも痛いんだよな…

ともだちにシェアしよう!