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第185話

その夜思ったよりも早く、翔が帰ってきた。 「…ただいまぁ…」 こっそりと小さな声で俺の部屋を覗いている。 そこにはいないよ、残念だな。 俺は…ダンナの帰りを待つ新婚の奥様みたく、翔のベッドの中だ。 「智?さとしっ!!どこ?」 さとしぃーどこー??と言う声とバタッ、バタンとあちこち俺を探すドアの開け閉めの音がする。 もう、お前は子供かっ。凛が起きたらどーするんだよ。 息急き切ってやっと自分の部屋に来た翔は、俺がベッドにいるのを見つけると 「智ぃ…探したよぉ~なんでここに?」 と抱きついてきた。 「ん?お前…マッ()かっ!智、今日はどんなご褒美だ? かわいいことするじゃないか! 仕事の疲れも吹っ飛ぶぞっ! 風呂、俺、速攻で風呂入ってくるっ!!」 一人で喋りドタバタと走っていったかと思うと、ものの五分で戻ってきて、布団の中に飛び込んできた。 どんな洗い方してるんだ。ちゃんと湯船に浸かったのかよ。 「智っ、どうしたんだ?なにかあったのか?」 とぎゅうぎゅう抱きしめられる。 湿った熱い肌とシトラスのトワレの香りに包まれて、どこかへトリップしそうになる。 「ん?なにもないけどさ… 明日はお客さんが来るから、イチャイチャできないだろ? だから一日早いけど、ちょっと…その…エッチしてもいいか…んぐっ」

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