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第196話
「凛ちゃん、かわいくて頭のいい子ですね。
大人の言うこと、大人以上に全て理解してるみたいだ。
自分の立場も、あなた方のことも。」
西條さんが凛の立ち去った方を見ながら呟いた。
「ええ、そうなんです。聞き分けが良すぎて…
もっと甘えてくれたらいいんですけど。」
「俺達のことも、誰よりもわかってて、応援してくれてます。
俺よりも智を上に見てる感がありますが…」
「うらやましいです。子育てできるなんて。
僕達には、叶えられないことですから。
僕は日向との子供を残すことができない…」
少し寂しそうに呟く西條君の肩を そっと彼氏さんが抱き寄せた。
そう………。俺達同性カップルは、自分達の子供を作れない。
どんなに愛し愛されても、どんなに注がれても、その種は根付くことはない。
押しつぶされそうな思いで、俺は隣に座る翔に視線を移した。
翔も俺を見つめたまま無言で頷いた。
「すみません!しんみりしちゃって。
この話をしに来たのに!」
西條さんが、パンフレットを出してきた。
「大人数でも、二人きりでも対応してくれます。
アットホームで、スタッフもすごく親身になってくれますよ。
スタッフの中にも、同性カップルがいます。
オーナーの橘さんは、俺の親父の友人で、パートナーは男性で…
だから、俺達みたいなカップルのことをすごくわかってくれるし、俺達も散々相談にのってもらってて。」
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