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第200話

風呂上がりの二人に翔が「さあさ、一献。」と差し出したのは… 幻の酒『月香(げっこう)』の登場に、西條さんはヒューっと口笛を鳴らした。 「すごい!どうやって手に入れたんですか? 種籾から一粒一粒選別して、除草剤も農薬も使わず、収穫も手刈りの上、天日干しで、そこからまた一粒一粒選別してお酒にするっていう… 確か年間100本足らずじゃなかったですか?」 「知り合いから分けてもらったので… さあ、ぐっといきましょう!ぐっと!」 「うわーっ!ピンチョスだぁ!キレイ!! 美味しそう! お腹一杯のはずなのに…食べたいっ!」 大盛り上がりで二次会と化した。 ぐっと打ち解けるには時間はかからなかった。 いつのまにか、お互いを名前で呼び合うようになった翔と西條さん…日向さんは、ご機嫌で二人の馴れ初めから互いの嫁自慢を始め、挙句に夜の生活のことまで暴露し始め、聞いてる俺と瑞季君が、冷や汗が出るわ、真っ赤になるわ、聞くに耐え難く、 『恥ずかしいから止めろ』と言っても、それぞれがダンナに背中から抱きしめられて、身動きできない、なんとも、小っ恥ずかしい状況だった。 酔っ払いめ。 無視して瑞季君とこっそり会話する。 〈いっつも こんな感じ?〉 〈そうそう。俺様だから、日向は。翔さんは?〉 〈うちもそう。尊大で泣き虫で甘えん坊で。〉 〈あはっ、でも…僕達愛されてるね…〉 〈うん…そうだね…〉 大いに楽しんだ俺達が解散したのは日付が大きく変わってからだった。

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