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第209話
はやる気持ちを抑えて玄関まで辿り着いて、鍵を開けるのももどかしくドアを開けると、
「ただいまー!」
「翔!お帰り…うわぁっ!」
ドタッ
出迎えた智に抱きついて、二人ともそのまま倒れ込んだ。
「いってぇー…翔…なんだよっ。もうっ。」
俺は無言で智の胸に擦り付いて、ぎゅうぎゅう抱き締めたまま…
そんな俺を不審に思ったのか
「おい、翔、どうしたんだよ。
なんかあったのか?」
声のトーンが少し落ちて、俺の頭を優しく撫でてくれる。
「もう、げんかんでなにやってんの?
おへやにはいんなさいよ!」
頭上から凛の声がするが、俺はいやいやと首を横に振って智から離れない。
「翔…背中が痛いんだけど。せめてソファーに座らせてくれないかな…」
智の強請 るような声に、俺はがばっと起き上がり、智を姫抱きにするとソファーまで運び、膝に跨らせて向かい合わせにすると、またぎゅーっと抱き締めた。
「翔…この甘えん坊め。
一体どうしたんだよ…なんか辛いことでもあったのか?」
「…違う。…俺、俺って本当に幸せだなぁって。
だから…
お前も凛も、思いっきり幸せにしてやりたい…」
「…凛、凛もおいで。」
智は黙って見ていた凛を呼ぶと、俺と自分の間に隙間を作り、その中に凛を座らせた。
「翔がさ、俺達のこと、思いっきり幸せにしてくれるんだって!」
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