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第210話

「うふっ。そうなの? じゃあ、めいっぱいしあわせにしてね! しょう、さとし、だーいすきっ!!」 俺達の間に滑り込んできた凛を潰さないように三人で抱き締め合う。 暖かくて優しい温もりが俺達を包む。 あー、心地いい、なんて多幸感。 こいつらのためなら、俺はなんだってできる… ぐーーーきゅるるるるるーーー 「もうっ、こんなときに むーどがないんだから。 さあ、さとし、おなかのへったおおかみさんに、ごはんのよういをしましょう!」 凛は、するりと俺達からすり抜けてキッチンへ走っていった。 智は、くっくっと笑いながら俺にキスをして 「狼さん、今日は、智&凛シェフ自慢のお手製の餃子だよ。 たくさん作ったからガッツリ食おうぜ。 …で、凛を寝かせたら、夜は……」 そこまで言って、智は はにかみながらもう一度俺にキスをすると、笑いながらキッチンへ行ってしまった。 ん?食った後…夜…… うおっ! まさか、まさか…い、いいのか?智…俺…狼になっても… 「さーとーしぃーー!」 俺は見えない尻尾を千切れるくらい振り回して、後を追いかけた。 二人が作ってくれた餃子は、マジで美味かった。 さすが自慢するだけのことはあるな。 「せめて片付けは俺がするから、先に風呂入ってきな。」 溢れる欲望と興奮を隠して、精一杯平常を装って、猛チャージで片付けを始めた。

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