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第220話

あまりの気持ちよさと湯気にあてられて、頭がぼーっとしてくる。 「智…」 いつのまにか愛おしい(ひと)の頭を掴み、前後に強く腰を押し付けていた。 んふっ、んふっ と鼻から漏れる智の甘い吐息に、そして喉奥まで届きそうな吸引に煽られ、智の涙に気付く余裕もなく… やがて俺は呆気なく智の口の中で達した。 今度もまた一滴残らず飲み込んだ智は、涙で濡れた目を瞬かせて 「翔、気持ちよかった?」 と健気に聞いてくる。 泣かせてごめんな、と溢れた涙を人差し指で拭い取り、 「恥ずかしながら、あっという間にイっちまったよ。 さっきもだけど…お前、いつの間にそんなテク身に付けたんだ? まさか、誰か」 「馬鹿なこと言うなよっ! 俺は、お前だけに決まってるじゃないかっ! ネットや本で調べたり、その…この間 瑞季君と情報交換したり… お前を気持ちよくしようと、俺なりに努力してんだよっ、馬鹿っ!!」 真っ赤になりぷいっと横を向いた智が、とてつもなく かわいくて愛おしくて、もう堪らない。 「智、疑ってごめん。俺のために…ありがとう。」 後ろから抱きしめて立ち上がらせて、抱え込んだまま二人で湯船に身体を沈めた。 密着した肌が、お湯のせいではなく熱い。

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