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第222話

side:智 昨日と打って変わって、朝から雨だった。 あの辛い思い出が、あの場面が…霧雨と共に蘇ってくる…。 こんな雨の日は嫌い。 起き上がりふるふると頭を振って、大きく深呼吸する。 まだ…まだ大丈夫。気持ち…落ちていない。 ゆっくり起き上がると、翔と凛の待つ賑やかなキッチンへ向かう。 「さとしっ、おはよう!…どうしたの?きぶん わるい? しょうのせい?」 「なんで、俺? んー、智、顔色悪いぞ。」 翔が、すっと俺の側まで来ると、額にそっと手を当てた。 「熱はないようだけど…やっぱ俺のせいか?」 耳元に小声でささやかれて、瞬間顔が火照る。 「いや…そうじゃないんだ…ごめん…」 「そうか…じゃあ、朝飯食ったら少し横になっとけよ。 休める時に休んどかないと。食えるか?」 「…うん、食べる…」 全部よそってもらって一口…口にする。 大丈夫…食べれるうちは、まだ… 二人が心配するから食べなきゃ… でも… 「…ご馳走様。翔、ありがとう。 ごめん、ちょっと食欲なくって…せっかく作ってくれたのに…ごめん…」 そのほとんどを残してしまった。 「どういたしまして。 智…俺のベッドに行ってな。あとで紅茶持って行ってやるから。」 「…うん、ありがとう。」 歯を磨きに洗面所へ。 鏡を見てギョッとする。酷い顔…白い肌が白を通り越して青い。 なるべく見ないようにして洗面を済ませ、翔のベッドへ潜り込む。

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