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第223話
布団にくるまって、大好きな翔の匂いに包まれると少しずつ落ち着いてきた。
久し振りにキタ。
しばらく落ち着いてたのに。
「智、入るぞ」
アルコールと甘い香りと一緒に翔が入ってきた。
「少しブランデー垂らしてみた。蜂蜜も入れたから飲みやすいと思う。
起きれるか?」
「…うん、大丈夫。ごめん…」
手伝ってもらい起き上がると、俺の手にカップを持たせて、ベッドサイドに腰をかけた。
ブランデーの芳醇な香りと蜂蜜の甘い香りを胸一杯に吸い込む。
ほっと一息ついて、一口…
「美味しい…」
「そりゃそうだよ。愛情たっぷりだからなー」
くすくす笑いながら頭を撫でられた。
翔は空になったカップを受け取るとサイドテーブルへ置き、俺をじっと見つめると
「智…思ってること全部吐き出せ。
なんか…辛いことあるんじゃねーか?」
なんで?どうしてわかるの?
俺、一言もそんなこと話してないのに…
翔…
ポロリと一粒 涙が零れたら、後は止まらなくなった。
黙ってしゃくりあげながら泣く俺を 翔はベッドに乗り上げて背中から抱え込んだ。
その暖かな温もりにすっぽりと包まれていると、不思議と気持ちが落ち着いてきた。
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