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第224話

すうっと一息、大きく息を吸うと 「雨が…… こんな霧雨の…雨の日がダメなんだ… 思い出すんだよ、親父が死んだ日のこと。 今日みたいな霧雨でさ… しばらく…思い出さなかったのに… なんか…お前と凛がいて、自分の心も身体も満たされて…今が幸せすぎて… …忘れてた。 きっとこのまま過ごせるんだろうって期待する俺と、お前みたいなスパダリを女達がほっておく訳なくって、いつか俺、捨てられるんじゃないかって…なんか、強烈に怖くなって… 親父とお袋だって、仕事では苦労したけど、あんなに愛し合ってたのに… あんなことになっちまって… 俺達だって、いつか、いつか… 今は愛してるって言ってくれてても… 俺は男で、お前の子供を残すこともできないし、だんだん歳をとってくると身体だって…乾いてゴツゴツしたものになってくるし、かわいいって言ってもらえなくなる。 そんな俺を抱きたくないだろ? 雨とあの時の失望と、お前を失った後の喪失感とがリンクして… なんか色々考えちまって… 俺、今のままでいいのかな…ずっとお前の側にいてもいいのかな… お前の隣りにいる自信がなくって…」

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