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第226話

翔の言葉の一つ一つが、身体中に染みていく。 俺を大きく包み込んで掬い上げ、なにもかも超えてしまう愛おしいひと。 ああ、もう、この(ひと)なしでは生きていけない。 いったい、いつの間にこんなに誰かに依存することを覚えてしまったのだろう。 今まで、どんなことがあっても自分でなんとか解決してきたし、そうする自信もあった。 一人でも大丈夫。そう思っていた。 でも…この暖かさと愛おしさを知ってしまったら、頼らずにはいられない。 『甘えろ』 翔はそう言ってくれた。 本当に…本当にずっと…一生甘えていいのか? 俺…俺が好きになってていいのか? 何度も問いかけ答えを探した。 「さーとーしぃ。」 ぽんぽんと頭をあやすように叩かれ、一旦身体を離すと頬を むにむにと(つね)られた。 「まだ言い足りないか?何でも言ってくれ。 全部受け止めるから。」 ちゅ と啄ばむようなキスをして、じっと俺を見つめてくる。 「本当に…本当に甘えていいのか? 側にいていいのか?」 絞り出すように問うと、ふっと微笑んでまたキスをしてきた。 「だーかーらーぁ、俺を誰だと思ってんだ? 俺はお前のスパダリだぜ。 お前の望むことならなんでも叶えてやるよ。 思いっきり甘えてこい。 愛してるよ、智。」

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