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第228話

遠慮がちに開くドアの音で目が覚めた。 俺が起きたのに気付いた翔は、俺の頭を撫でて頬に手を当てると 「ごめん、起こしちまった。様子見に来たんだけど…おっ、顔色戻ってる…よかった。」 「ううん、大丈夫。ありがとう。今、何時?」 「1時10分。昼メシ食えるか?凛は先に済ませたから。 凛さぁ、お前のことすっげえ心配してるからさ、声かけてやってくれないか?」 「凛が?ホント?わかった。 いっぱい泣いたからお腹すいた。翔のご飯食べたい。」 「なんだ、お前。お子ちゃまだな。 ほら、抱っこ。おいで。 」 いつもなら悪態をついて拒否するのだが、今日は素直に甘えたい気分満載で、両手を首に絡ませる。 俺を抱き上げるとダイニングまで運び、凛の前で降ろしてくれた。 凛は…椅子に座っていて、心配そうに俺を見上げた。 「さとし…げんきになった?だいじょうぶ?」 「うん、もう大丈夫。心配かけてごめんな、凛。」 頭をそっと撫でてにっこり微笑む。 と… うえっ、うえっ、ひっく、ひっく 「???凛、どうした?どこか痛いのか?」 俺の腰にしがみついて、凛が突然泣き出した。 さっきの俺みたいにしゃくりあげて、 ぽろぽろと涙を零し、わんわん泣いている。

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