228 / 516
第228話
遠慮がちに開くドアの音で目が覚めた。
俺が起きたのに気付いた翔は、俺の頭を撫でて頬に手を当てると
「ごめん、起こしちまった。様子見に来たんだけど…おっ、顔色戻ってる…よかった。」
「ううん、大丈夫。ありがとう。今、何時?」
「1時10分。昼メシ食えるか?凛は先に済ませたから。
凛さぁ、お前のことすっげえ心配してるからさ、声かけてやってくれないか?」
「凛が?ホント?わかった。
いっぱい泣いたからお腹すいた。翔のご飯食べたい。」
「なんだ、お前。お子ちゃまだな。
ほら、抱っこ。おいで。 」
いつもなら悪態をついて拒否するのだが、今日は素直に甘えたい気分満載で、両手を首に絡ませる。
俺を抱き上げるとダイニングまで運び、凛の前で降ろしてくれた。
凛は…椅子に座っていて、心配そうに俺を見上げた。
「さとし…げんきになった?だいじょうぶ?」
「うん、もう大丈夫。心配かけてごめんな、凛。」
頭をそっと撫でてにっこり微笑む。
と…
うえっ、うえっ、ひっく、ひっく
「???凛、どうした?どこか痛いのか?」
俺の腰にしがみついて、凛が突然泣き出した。
さっきの俺みたいにしゃくりあげて、 ぽろぽろと涙を零し、わんわん泣いている。
ともだちにシェアしよう!