234 / 516

第234話

煌めく大きなシャンデリアが下がり、派手すぎず地味でもなく、薄いベージュで色味が統一された上品な作りの心地いい空間が現れた。 正面の天井近くには先程のステンドグラスが存在感を示し、その左側にはパイプオルガンがあって、数段高くなった祭壇には、中央の台の両側に大きな花瓶があり、カサブランカとカラーが品良く飾ってあった。 真ん中の通路の両側には長椅子が整然と設えられ、通路側には席毎に白の紫陽花とカラーとグリーンのアイビーが、誘導灯のように並んでいた。 「お二人ともどうぞこちらへ」 遥さんに呼ばれて、少し緊張しながら翔と祭壇へ向かう。 「ここで、お式を行います。 先程終わったばかりで…花もそのままにしてあります。 今日のカップルも同性同士の方達でしたよ。」 優しい眼差しのまま、隼人さんが俺達を中央に案内してくれた。 遥さんと一緒にいた凛を手招きして俺達の間に立たせてやる。 数段上から見下ろすホールは誰もいないけれど、暖かく俺達を見守ってくれているようだった。 独特の荘厳な雰囲気に飲まれてぼんやりしている俺の手を 翔がそっと握ってきた。 その暖かな温もりを手放したくなくて、ぎゅっと握り返した。 すると、翔は指を滑らせて『恋人繋ぎ』にしてから、空いた手で凛の頭を撫でた。
13
いいね
13
萌えた
0
切ない
0
エロい
15
尊い
リアクションとは?
コメント

ともだちにシェアしよう!