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第234話
煌めく大きなシャンデリアが下がり、派手すぎず地味でもなく、薄いベージュで色味が統一された上品な作りの心地いい空間が現れた。
正面の天井近くには先程のステンドグラスが存在感を示し、その左側にはパイプオルガンがあって、数段高くなった祭壇には、中央の台の両側に大きな花瓶があり、カサブランカとカラーが品良く飾ってあった。
真ん中の通路の両側には長椅子が整然と設えられ、通路側には席毎に白の紫陽花とカラーとグリーンのアイビーが、誘導灯のように並んでいた。
「お二人ともどうぞこちらへ」
遥さんに呼ばれて、少し緊張しながら翔と祭壇へ向かう。
「ここで、お式を行います。
先程終わったばかりで…花もそのままにしてあります。
今日のカップルも同性同士の方達でしたよ。」
優しい眼差しのまま、隼人さんが俺達を中央に案内してくれた。
遥さんと一緒にいた凛を手招きして俺達の間に立たせてやる。
数段上から見下ろすホールは誰もいないけれど、暖かく俺達を見守ってくれているようだった。
独特の荘厳な雰囲気に飲まれてぼんやりしている俺の手を 翔がそっと握ってきた。
その暖かな温もりを手放したくなくて、ぎゅっと握り返した。
すると、翔は指を滑らせて『恋人繋ぎ』にしてから、空いた手で凛の頭を撫でた。
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