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第248話
「うん…微かに、断片的には残ってるんだけど…肝心なところが…ないんだわー。
秋山さ、その時の記憶が戻ったらしくて、俺 散々罵られた挙句、『絶交だ』って…
もう破れかぶれで、俺が『本気だ、好きだ』って言っても信じてくれなくて。
バカなことした所為で儚い恋が散ってしまったんだよ…
おまけに俺の記憶がないって最悪じゃん。
ハートブレイク…もうしばらく立ち直れない…」
ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、持参の弁当をちまちまと食べる峰が、なんとも気の毒になった。
っていうか、お前も弁当持参って…確かこいつも一人暮らしで…まさか自分で作ってんのか?
瑞季君といい、あっ、課長もそうだった!うちの会社、女子力高っ!
変なところにツッコミを入れながら、本題に頭を切り替える。
「で、それから秋山と疎遠になってるってことか。」
うんうんと頷いて、峰はひたすら弁当を食べている。
「峰君の記憶がないのが…ネックですよね…」
ポツリと呟く瑞季君。いや、それ火に油…
弁当を食べ終わった峰は、涙目で訴える。
「俺だって覚えてたらどんなによかったか…
想い人との初エッチだぞ!?
あんなことやこんなことや…あーー、記憶のない自分が恨めしいよーぉ!」
えぐえぐと泣く峰…
そうだ!
「課長に相談しよう!」
「…えっ?片岡課長? 」
「あっ、それがいいです!峰君、そうしよう!」
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