248 / 516

第248話

「うん…微かに、断片的には残ってるんだけど…肝心なところが…ないんだわー。 秋山さ、その時の記憶が戻ったらしくて、俺 散々罵られた挙句、『絶交だ』って… もう破れかぶれで、俺が『本気だ、好きだ』って言っても信じてくれなくて。 バカなことした所為で儚い恋が散ってしまったんだよ… おまけに俺の記憶がないって最悪じゃん。 ハートブレイク…もうしばらく立ち直れない…」 ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、持参の弁当をちまちまと食べる峰が、なんとも気の毒になった。 っていうか、お前も弁当持参って…確かこいつも一人暮らしで…まさか自分で作ってんのか? 瑞季君といい、あっ、課長もそうだった!うちの会社、女子力高っ! 変なところにツッコミを入れながら、本題に頭を切り替える。 「で、それから秋山と疎遠になってるってことか。」 うんうんと頷いて、峰はひたすら弁当を食べている。 「峰君の記憶がないのが…ネックですよね…」 ポツリと呟く瑞季君。いや、それ火に油… 弁当を食べ終わった峰は、涙目で訴える。 「俺だって覚えてたらどんなによかったか… 想い人との初エッチだぞ!? あんなことやこんなことや…あーー、記憶のない自分が恨めしいよーぉ!」 えぐえぐと泣く峰… そうだ! 「課長に相談しよう!」 「…えっ?片岡課長? 」 「あっ、それがいいです!峰君、そうしよう!」

ともだちにシェアしよう!