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第251話
side:秋山
なんで…
なんで あいつと出張なんだよっ。
課長、あんまりじゃないですか。
いじめ?パワハラ?
あの日…あいつと呑んだくれた挙句、ほぼ合意(!?)の状態で抱かれてしまった。
告白する隙も与えられず、相沢にバッサリと失恋した俺は、すぐさま峰を呼び出し、いつもの居酒屋で愚痴ってガンガン飲んで、それでも足りないと、俺の家で飲んで…
泣き崩れた俺をそっと抱きしめた あいつに縋り付いたのは…俺だ。
男くさい香りに、厚い胸板に、抱き締めるその腕に、心地イイと思ったのも…俺。
キスを仕掛けてネクタイを外させたのも…俺。
…「抱いてくれ」と強請ったのも…俺。
あいつは、俺の望むまま抱いてくれた。
男は初めてだと言ってたが、やけに優しくて激しくて、最高に身体の相性が良くて、オマケに俺のことを『好きだ』と告白してきやがった。
「ずっとお前だけ見てきたんだ。
お前が誰を好きでもいい。
俺が幸せにしてやる。
好きだ、好きだ、大好きだ!」
うわ言のように「好きだ好きだ」と言いながら、腰をガンガン振って、お陰で足腰立たなくなりそうなくらいガクガクになったじゃないか。
二日酔いよりそっちの方が辛かった…
失恋したばっかな俺に、そんなこと言うか?
傷心中の弱ってる俺にそんなこと言って、優しくされたらグラッとくるじゃんか。
で、朝起きたら覚えてなくって、裸の俺にオタオタしやがって。
あんのヘタレめ。
俺は全部覚えてるんだよ。
告ったことぐらい覚えとけよ。
ばーか。
なんか…節操ないな…俺。
相沢のこと、どうでもよくなってきてる。
こんな状態で二人っきりの出張なんて…
マズイよ。
あと一押しされたら…落ちるかもしれない…
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