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第253話

「あったりめーじゃねーか。なーに言ってんだよ。 お前の存在自体が、俺にとって『愛』そのものなんだよっ。 受け取るとか渡すとか…そんなことどーでもいいんだって。 お前は黙って俺に愛されてたらいいんだよ。 俺の側で一緒に笑って、泣いて、喜んで… それで、じーさんになってもずっと一緒にいるんだ! 『無償』って何も考えないことなんじゃないか? 愛に損得なんかないってことだろ? ぐちゃぐちゃ余計なこと考えるなら… 何も考えられなくしてやろうか…」 最後の台詞を耳元で思いっきりセクシーな声でささやかれて、ビクッと身体が跳ねた。 慌てて翔の顔を押し戻し 「あ、明日早いから、俺…俺、もう部屋に行くね。 お休み、翔。」 翔は、逃げ出そうとする俺の手を掴み、抱きとめると濃厚なキスを仕掛けてきた。 「んんっ、んっ、んーーっ、んぐっ」 必死に鼻で呼吸するが、それも間に合わないくらいのキス… 「んんっ、んーっ、んん」 首を振って逃れようとしても後頭部をがっちり押さえ込まれて、振りほどけない。 翔の舌が俺の口内を余す所もなく犯していく。 なに?どうして急に? 息苦しさにじわりと涙が出て出てきた。 散々弄ばれて息も絶え絶えになった頃、やっと唇が離れた。 「…智、余計なこと考えるの止めろ。 俺達は、 『愛し合ってる』…それでいいじゃないか。 それ以外何が必要なんだ?」

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