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*第270話
俺は急いで身体中を丁寧に洗うと、いそいそと秋山の待つ部屋へ戻った。
「うわっ、すっげーご馳走…
なんか腹減ってきた。」
部屋には、いかにも『老舗旅館のフルコースでございます』的な料理が、テーブル一杯に所狭しと並んでいた。
側には先程の部屋付きの仲居さんが控えている。
秋山は…
ぼんやりとソファーに座っていたが、俺が戻ってきたのに気が付くと
「なっ、すげーだろ?
課長、どんだけ張り切ったんだよって感じじゃねーか?」
と言いながら、こちらにやってきた。
「改めまして、こちらのお部屋を担当させていただきます、『あき』と申します。
先程は多分なお心付けをいただきまして、ありがとうございました。
何かございましたら、いつでもお声を掛けて下さいませ。
早速ですが、お飲み物はいかがされますか?
こちらメニューでございます。
おススメは地元の『星降るビール』でございます。
さっぱりとした口当たりで人気のものですよ。」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。
そうだな…秋山、お前何にする?
俺は…そのビールでいいかな…」
「俺も、一緒で。」
「じゃあ、『星降るビール』を」
「承知いたしました、只今お待ち致します。」
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