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*第272話
俺はグラスを手に取ると
「契約も無事書面を交わして完了しました。
秋山の入念な準備のお陰です。ありがとう。
そして…
俺とお前の未来に…乾杯!」
「……乾杯……」
恥ずかしげもなくクサイ台詞をかまし、これまた恥ずかしげな秋山とカチンとグラスを合わせて、一口…
「うまっ!」「これ、うまーい!」
顔を見合わせてクスリと笑う。
「美味そうだな。全部地元の物だってさ。
地産地消、いいよな。
昼も美味いもん食ったし、夜もカロリーオーバーだけど、気にせず食うぞー!」
後で目一杯運動するからな…とはさすがに口には出せなかった。
言おうものなら…きっと部屋から叩き出されて、俺は震えながら朝を迎えなければならないはず…
せっかくの二人の夜を無駄にするわけにはいかないからな。
秋山は…
うれしそうに、食ってる、食ってる。
かっわいいなぁー。
「なぁ、この肉、柔らかくって美味いなぁ。
あ、この『季節の野菜の炊き合わせ』ってやつ?
綺麗だし、美味いー!
あー、こんな出張、サーイコー!!
でもさぁ、峰…後で請求…こないよな?」
「それなんだよ…『行きはヨイヨイ帰りは…』
ここ、めっちゃ高いとこだよ…ヤバいよなぁ。
経費の最高額差し引いても…うーん、ヤバいよ。」
「ま、帰って考えよう!せっかくなんだ、食おーぜ!」
俺達はグルメ星人と化して、食事を楽しんだ。
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