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*第273話

すっかり満足し切った俺達は、部屋の片付けをしてもらってる間に、今度は部屋付きの露天風呂をそれぞれ楽しんだ。 『楽しんだ』とはいうものの、俺は俺で、きっと秋山は秋山で、この後に起こる羞恥と欲望と快楽の時間を思い、落ち着かない気分でいた。 明日の朝食の時間を頼んで、あきさんが 「どうぞごゆっくりお休み下さいませ。」 と出て行くと、完全に二人きりになった。 秋山がわざと明るい声で話しかける。 「なんか…二人っきりって…落ち着かないな… ワインか日本酒か 頼むか?」 俺は真っ直ぐ秋山を見据えて言った。 「…酒はいらない。…お前が欲しい。」 「…うっ…どストレート… お前、そんな台詞恥ずかしくないのかっ? 言われてる俺は、恥ずかしい…」 「恋い焦がれて愛してる人に伝えるのに、なんで恥ずかしい? 俺は堂々と言えるぞ。 秋山、お前がほ」 「うわーぁっ、もういい、もういいよっ! ちょっと、マジ恥ずいから、止めてっ!」 真っ赤になって両手で俺の口を塞いできた。 その手首をそっと握って外し、引き込んで抱き締めた。 ぽふんと俺の胸に飛び込んできた秋山は、されるがまま。触れ合う心臓はどちらの鼓動かわからないが、ドキドキ音を立てている。 見つめていると、秋山が顔を上げた。 その甘い視線とぶつかり、ずくりと身体が疼いた。

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