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*第288話

俺は晃星を抱きしめたまま、頭にキスをして髪の毛を撫でてやる。 性的な欲望よりも、この庇護欲を駆り立てる存在を俺の全てを賭けて守りたいという想いで一杯だった。 「何度でも言うよ。晃星、愛してる。お前だけを…愛してる。」 「あー、恥ずい、恥ずかしい… お前、甘いよー、甘すぎる! 躊躇なくそんなこと言えるんだもんな… んー、慣れない、こんなシチュエーション慣れないって!」 もぞもぞと俺の腕からすり抜けた晃星は、赤い顔をして少し距離を取った。 「…晃星…」 「ストップ!煽った俺が悪かった! 今はエッチなことなし、な?な? なあ、小さい頃どんな子供だったんだ? 俺はさ…」 抱きしめようとする俺を制して晃星は一人で話し始めた。 それを遮って 「おい、晃星、何もしないから…手ェ出さねーから抱かせろ!」 有無を言わさず晃星を後ろから抱え込み 「これならいいだろ? もう、変なことしないから。このまま俺の体温を感じて抱かれてろ。」 「…わかった。…もたれていいか?」 素直になった晃星に、いい子いい子と頭を撫でて、ちびちびと酎ハイを飲みながら、俺達はいろんな話をした。 小さい頃の思い出、初恋と失恋…あ、もちろん相沢のことも含めて…好きなもの嫌いなもの、心惹かれる風景、よく聞く音楽、仕事の話…… 気が付くと日付は変わり、晃星はうとうとし始めていた。 俺は晃星を抱えて布団に連れて行き、キスを一つして抱きかかえて眠りについた。

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