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*第292話

「…ううん、ダメじゃない。 これからの人生は…お前と一緒に…」 不覚にも涙が溢れてきた。 泣き虫 と呟く晃星に抱きしめられて、俺はその温もりを堪能していた。 「おい、顔洗ってこい。イケメンが崩れてるぞ。」 晃星に鼻を摘まれて、情けない顔のまま洗面所に向かう。 「お前、しゃんとしてたら結構イケてるんだけどな。 時々こんなんなっちまう。 まぁ、それもかわいいけどな。」 ふにっと笑う晃星にちょっと涙目で抗議して、顔を洗い、髪を整える。 はい、イケメン復活。 二人で商店街に繰り出して、メニューが餃子のみの評判の店に向かう。昨日と同じく行列だが、こちらは回転が早いらしい。 あっという間に順番が来た。 店内はごった返していたが、これまたあっという間に注文の品が運ばれてくる。 熱々の餃子に、はふはふと被りついて笑みが溢れる。 こういうの、いいな。 満腹でご満悦な晃星と店を出て、ぶらぶらと土産物屋を見て回った。 「おーい、晃星。課長に、これどうだ?あの人、口が超えてるからなー、『大吟醸 漆黒』米にこだわったまろやかで深みのある味わい だって!」 「あぁ、いいね。それにしよう。 相沢と西條は…ご当地ワインか…いいねぇ。 ん?『はつ恋』?うっわー、意味深。ちょっと引くわ。 他にないのかなぁ。」 「じゃあ、こっちで。ブルーベリーで作った…『もりのくまさん』 あははっ、急にメルヘンチックになったな。」 「くっくっ、それにしよう!」 後は皆んなに銘菓の詰め合わせと俺達用にワインを一本、戦利品を片手に部屋へ戻った。

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