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*第293話

それから夕食までの数時間、俺達は仕事に没頭した。 晃星の資料と俺が調べてきた現地の情報を効率よく仕上げていく。 なんとか形になり、大義名分は果たせそうだ。 「あー、終わった…疲れたぁー。 悠真…俺、内風呂入ってくるから。」 「…俺も一緒に…」 「お前は大浴場か、ここで俺の後。」 「だって…頑張ったら『ご褒美』って…」 「…風呂だけでいいなら一緒に入ってきてもいいぞ。 …でも…それいじ」 「わかったっ!わかった!俺は大浴場でいいっ! 行ってくるっ!待っててくれっ!」 晃星が何を言わんとしているのかを察し、その言葉を制すると、俺は風呂の準備をして部屋を飛び出した。 俺が身体中に付けた印のせいで、ここに入れない晃星にゴメンと謝りつつ、旅館自慢の大風呂に浸かっていた。 まだ人が少ないから別に一緒に入ってもいいのに。 あー、いや、あいつのヤラシクてセクスィーな身体を他人に見せる訳にはいかない。 見ていいのは…俺だけだ。 怒涛の如く過ぎた告白と昨夜の情事を思い出して、自然とニヤけてくる顔を引き締めた。 部屋に戻ると既に夕食の準備が整い、あきさんが あれこれと晃星に説明をしていた。 「うっわー、今日も豪勢な…美味そう!」 腹の虫もきゅうきゅう鳴っている。

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