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*第294話
今夜は例の地元のワイン『はつ恋』をオーダーし、グラスをかちりと合わせると、ゆっくり味わいながら食していく。
夕べはそんな余裕もなかったし、今夜は今夜で違う緊張感が漂っている。
「さっき課長にプライベートメール送っといた。」
鰤しゃぶを突きながら晃星が言った。
「あ、昨日契約終了した時点でちゃんと業務報告はしてるんだぞ。
それとは別にさ、俺達のためにここまでしてもらってて、とりあえずお礼をさ…」
「なーんか、小っ恥ずかしい…
俺達出社したらさ、『事前事後』が並んで立ってるって…
うっわー、超恥ずかしい…
で、なんて送ったんだ?課長なんて?」
「んー?これ。」
と晃星は携帯の送信・受信欄を見せてくれた。
『お疲れ様です。
メールで失礼致します。
ご心配をお掛けしましたが、落ち着くところに落ち着きました。
二日間仕事にプライベートに満喫させて頂いております。
戻りましたらしっかり業績を上げるよう励みます。
ありがとうございました。』
『よかったねー(^-^)v
じゃあ、楽しみに待ってるよ。
峰にも [あんまり張り切り過ぎるな] って伝えといてねー!』
あー、やっぱ軽い。
『張り切り過ぎるな』って…ナニを…
うっわー、恥ずかしい…全部読まれてる…
あの人には色んな意味で敵わない…
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