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第304話
「翔…ごめん。忘れてた俺が悪かったから。
仲直り、して?」
翔の膝の上に乗って、目尻にキスをした。
瞬間、身体がひっくり返され、翔に跨がられていた。恨めしそうな目をして俺を見ている。
俺は手を伸ばして翔の首に回した。
「翔、許してくれないのか?」
翔は黙って啄ばむようなキスをしてきた。
それは…許すってこと?
大切なこと、忘れててごめん…
耳元でささやくと、途端にむしり取るように服を脱がされた。
明るい部屋の中で素っ裸にされ、羞恥で真っ赤になったが、翔がしたいようにさせてやろうと思った。
翔は自分の服も脱ぎ捨てると、俺に覆い被さってきた。
身体中弄 られ、赤い印を残される度にぴりりと痛みが走る。
『俺のものだ』『誰にも渡さない』
声にならない声が聞こえる。
そんなに追い詰めてしまっていたのか。
翔がこんなに楽しみにしていたことを忘れてるなんて。
俺の身体を這い回るように愛撫する翔の頭を抱きしめ、キスをする。
知らず知らず、俺の目からは涙が溢れていた。
「…智?」
それに気付いた翔がびっくりしたように、その行為を止めた。
「智…心の狭い男でごめん。俺、きっと寂しかったんだ。
俺だけが舞い上がって、俺だけが期待してるみたいで」
「違う!俺だって楽しみにしてたんだ。
でも…ごめん。理由はどうあれ、悪いのは俺なんだよ。翔、約束通り行こうよ。な?」
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