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第315話
「俺が悪かったんだ。ごめんな。
自分のことで精一杯で、お前がどんなに楽しみにしてたか、考えてなかった。
遥さんから聞いたよ。
何度も何度も連絡して、打ち合わせしてくれてたんだろ?
俺達のために…ありがとう。
ドライが嫌だとかそういうのじゃなくて
俺は…たっぷりと愛情に包まれたセックスがしたいんだ。
激しくてもいい、ただ欲望を吐き出すだけじゃない…うまく言えないけど伝わってるかな?
どう言えばいいんだろう…ちゃんと言葉にならないよ…
お前が好きだから抱かれたい、抱きたい。
身体だけじゃなくて、心から繋がりたい。
俺も男だし、お前のこと滅茶苦茶にしたい時だってあるんだ。
してほしい時だって…ある。
お前を…愛してるから。」
どう言葉を紡いでいけば良いのか、どう言えば伝わるのか…戸惑いながら話す間、翔は頬をぴったり寄せて黙って聞いてくれている。
その合わさった頬に冷たいものが触れた。
「…翔?」
翔の涙。ただ、ただ、声も無く涙が流れている。
俺は翔の腕をすり抜け、跪くと両手で頬を包み、流れる涙を親指でそっと拭い取った。
そして、そのまま引き寄せると目尻に溜まった涙を掬い取るようにキスをした。
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