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第316話
翔がぎゅっと抱きしめてくる。
俺もそれ以上に抱きしめ返す。
無言の行為だけれども、触れ合う肌からお互いの想いが雪崩れ込んでくるような気がする。
お互いを愛し大切に、リスペクトする想い。
「智…智…」
名前を呼ばれるだけで胸がきゅうっと痛い。
痛いくらいに翔のことを想う。
小さな声で、でもはっきりと訴えた。
「翔…ベッドに…連れて行って…」
翔は一瞬潤んだ目で俺を見て、すぐさま抱きかかえると自分の部屋へと運んでいった。
俺をそっと横たえるとベッドに腰掛け、じっと見つめながら俺の髪の毛を掻き上げる。何度も何度も。
髪を触られて見つめられるだけで身体にぞくりと電流が走る。
「智…俺、図体ばかりデカくって、中身はまだ子供なんだよ。
お前に愛想尽かされても仕方ないことばかりしてるのに…全て受け止めて包んでくれてる。
自分が辛くっても嫌な思いしても全部飲み込んで。
俺は、お前のことが好きで好きで好きで堪らない。
愛おしくって大切にしたい。守りたい。
表現の仕方は間違うことがあると思う。
それでも許してくれるか?
一生…いや、生まれ変わってもきっとお前を探し出す。
智…愛しています。」
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