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第329話

恨めしげに翔を見ながら二人でシーツを替えて、洗濯機に放り込むと、ザッとシャワーを浴びて、布団に潜り込んだ。 後ろから翔が抱きしめてくる。そっと、優しく。 愛おしげに髪を撫でられて、背中を少し丸めるとぴったりとくっ付いた。 背中全体にじわりと温もりが伝わり、すっぽりと腕に抱き留められて、その腕に頬を擦り寄せた。 もう、言葉はいらない。 身体から伝わる翔の気持ちに包まれて俺は静かに夢の中へと(いざな)われていった。 翌日… 身体にかかる重さとカーテン越しの明るさに目を覚ますと、目の前に愛おしい男の腕があった。 あ、昨日あのまま… 起こさないようにそっと腕を避けて起きようとしたら、すごい勢いで抱き込まれた。 「智、どこ行くの?」 「あ…翔、おはよう。朝ご飯の支度しなきゃ。 凛に食べさせないと。」 「大丈夫。さっき食わせてきたから。 もう少し…このまま抱かせて…」 きゅうきゅうと鳴く子犬のように甘えてくる翔の頭を撫で、くるりと向きを変えてじっと目を見つめる。 「あと10分な。お腹空いた。」 そう宣言して暖かな胸に擦り付く。 天気も良く、愛する男の胸の中で迎えるなんて幸せな朝。 朝勃ちで硬いものが当たっても無視を決め込んで、翔が何か仕掛けて来ようとするのを眼力で阻止した。

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