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第336話

「おっ、峰の愛妻弁当じゃないか。 よかったな、秋山。コイツの女子力半端ないぞ。」 もぐもぐもぐ 黙って食う秋山。 「うわっ、峰君、これ美味しそう! 今度教えて!うちの日向も好きそうなやつだ。」 「もちろん!レシピ書いてくるよ。」 「やったぁー」 思い出したように秋山が呟く。 「…そう言えば、お前んちもそうだったよな… 相沢も… 何だよ。ノンケじゃない集まりの昼飯かよ。」 もぐもぐもぐ また黙って食っている。 「で?どうやって攻め落としたんだ?」 どストレートの俺の質問に、峰と秋山が喉を詰まらせた。 うほっ げほっ げほっ 「ぐふっ…おい、相沢… お前、オブラートに包んで物を言えよっ! 本人が目の前にいるんだぞ、バーカ。 俺はぜーったい言わないからな。けほっ。 あっちで一人で食ってくるから。 じゃーな。」 咳き込みながら秋山が離れた席に座って一人で食べ始めた。 「もう照れちゃって…あいつ、ツンデレだから…」 でろでろな峰がフォローする。 何だよ、バカップルめ。 「で?」「で?」「「で?」」 問い詰める俺達に根負けした峰は、二泊三日の愛の出張について熱く語り、俺達は秋山を気にしながら、小さく『ひぇー』とか『うおっ』とか驚いたり茶化したりしながら盛り上がったのだった。

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