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第346話

しばらくしてスタンプが送られてきた。 『あっかんべーをしたパンダ』 すかさず 『泣き崩れるヒヨコ』を送り返す。 それから…また既読無視だった… 仕事中だもんな、構ってられないよな。 ちょっと寂しい気持ちになりながら、一旦携帯をテーブルに置いて、片付けを始めた。 んー、冷蔵庫には…野菜も大体揃ってるな。鶏肉もあるし、五目煮でもすっか。ゴボウがあるから、きんぴらと、凛の好きな茶碗蒸しと、後は味噌汁だな。 ふむふむと段取りを考えて、携帯を手に取った。 スライドしてみると、そこには 『ハグするパンダ』がっ!! すっげーテンション上がって 『愛してる』と送ると 『わかってる。忙しいからもう構えない』 『わかった。仕事頑張って!』 一旦既読がついた後は、もう返信は戻ってこなかった。 こんなことで一喜一憂して、繋がってることがうれしくて、なんて俺って単純なんだろう。 ふうっと一息ついて、コーヒーをドリップしてリビングに行くと、心地良い風がカーテンを揺らし、窓から柔らかな日差しが差し込んでいる。 洗濯物が風になびき、其処此処に智と凛の住んでいる証拠が見て取れる。 一人じゃない、愛する家族が一緒にいる。 ほんわかと幸せな気分に浸りながら、熱いコーヒーを啜った。

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