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第347話

その日の夕方… 息を切らして駆け込むように凛と帰ってきた智は、俺の顔を見ると、くしゃりと相好を崩して抱きついてきた。 おおっ、智、大胆だな…凛、いるのに… 「起きてて大丈夫なのか?もしかしてご飯の用意も?何で無理すんだよっ! ちゃんと寝てなきゃダメじゃないかっ! 早退できなくてごめん。でも、これでも急いで帰ってきたんだぞ。 凛だって、『おかえりのしたく』いつもより早くして、俺の迎えスタンバイして待っててくれたんだ。」 ぎゅうぎゅう抱きしめられて叱られる。 「ありがとう。凛、心配かけてごめんな。 もう、熱もないから大丈夫だ。 寝てばかりいると身体が鈍ってしまうからな。 お前達に移ってないといいんだけど…」 「そん時はそん時だよ! 俺達が寝込んだら看病してもらうから。な!凛。」 「おねつでたら、かんびょうね! あいすと、ぷりんと、あんにんどーふ つくってもらう!」 「食いたいだけだろ。お詫びにプリンは作ってあるからな。」 「うわーい!しょう、だいすきっ!」 一気に賑やかになった空気感に、うれしさと ちょっぴり切なさを感じて、一人笑いが止まらない。 「しょう、なにわらってんの?おねつで あたま やられちゃった?」 「おいおい、何てこと言うんだよ。 違うって。お前達二人がいて幸せだなって噛み締めてたの!! さ、風呂入っておいで。ちょっと早いけどメシ食おう。プリンが待ってるぞー!」 「うわーい!りん、いっちばーんのりぃー! おとめのにゅうよく、のぞいちゃだめよぉー!」 「誰が覗くかって。」

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