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第361話

俺は翔に抱かれたまま、シラフで聞いていたら歯が浮いて砂を吐きそうな台詞をうっとりと夢心地で聞いていた。 とくとくと規則正しく音を刻む翔の鼓動を聞きながら、その胸に猫のようにすりすりと擦り寄っていくと、うれしそうに翔が喉を鳴らして笑う声がした。 この温かさが心地よくて、愛おしくて、 触れていた肌に唇を寄せると、力を込めて吸い付いた。 「???」 翔が戸惑っているのがわかる。 しばらくして、そっと唇を離すと、綺麗に赤い印が一つ付いていた。 「智、これ…」 「…うん。翔が俺のものだっていう印。付けちゃった。」 えへっと得意気に言うと 「…ありがとう。お前、そんなに独占欲強かったのか?俺はうれしいけど。」 「だって翔は俺のものでしょ?ちゃんと印付けとかないと、誰かに盗られたらどうするの? 俺だけのものだろ?」 「…智…お前、ホントにかわいいな。 じゃあ、俺だって、お前は俺のものっていう証拠を付けてもいいか?」 「…いいけど。今日は一つだけ。」 「えー…一つじゃ足りない!好きなだけ付けさせて…」 「それは…金曜日にして…今日は一つだけ…ね?」 瑞季君直伝の『おねだりビーム』で悩殺する。 彼によると、結構キクらしい。 そう。俺達のランチタイムの話題は専ら こういう話題なのだ。

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