じゃあ、行ってくるわね とひらひら手を振って瑞季君を従え、まーちゃん課長が出て行った。 「あれが『まーちゃん課長』かぁ…すげぇ迫力。ハンパねぇ… なぁ、『あの大騒動』って何だ？俺が移動になった時にちらっと聞いたけど。」 「瑞季君が結婚して西條籍になった時に、人事に戸籍謄本出せって言われて出したら、そこから同性婚がバレてさ。 人事のタヌキやらいろんな奴らが『そんなんで営業なんて対外的にも問題だ』って責め立てて…そんな中でも、片岡課長が盾になって庇ってくれてさ。 そこへ、まーちゃん課長が『外に出すのがダメなんて言うなら、うちに貰い受ける』って、部署移動になったんだ。それでお前が呼び戻されたってわけ。 あの人、自他ともに認める腐女子でさ…『リアルBL』って萌えたらしく… おまけに社内の女性陣が味方について、瑞季君を排除しようとしたり、いじめた奴の仕事を一切ボイコットしたんだ。 実際、女性陣のサポートがないと無理じゃん？ 始終冷たい目で見られたりカチ無視された上に、仕事も滞って、最後の方はそいつら半泣きで仕事してたよ。」 「そうだったんだ…やっぱ女って怖いわー。 でも、味方になってくれてよかったよな。 さっきの話だけど…俺としては辞めてほしくないな。」 「俺だって…おっ、昼終わっちまう。後でゆっくり、聞こうな。」 「ああ。上手くいくといいな。」