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第370話

瑞季君の退職のことが気になって、午後からの仕事は思うように はかどらず、コーヒーでも飲もうと席を立ったところで課長に呼ばれた。 「おーい、相沢くーん。」 「はい、ご用でしょうか?」 「うん、ちょっとおいでー。」 連れていかれたのは休憩室。ことりとコーヒーの入ったカップを置かれた。 「はい、どうぞ。 西條君のことは心配しないで大丈夫だから。」 「ありがとうございます。いただきます。 って、課長、どうして?大丈夫ってどういうことですか?」 「手は打ってあるからってこと。 あの まーちゃんを(ヘッド)にしたアマゾネス軍団がついてるんだもん、怖いものなしだよ。」 片岡課長といい浅井課長といい、この人達は、一体どんな手を使って上層部をねじ伏せたんだろう… くくっ と悪戯っ子のように笑う課長を俺はポカンと口を開けて見ていた。 そうか…よかった。とりあえず解決したんだ。 「相沢君、イケメンが台無しだよ。顔戻してよ。 コーヒー、冷めちゃうよ。」 「あっ、は、はい。いただきます。 あの、課長…」 「んー?なんだい?」 「課長って、一体何者なんですか?」 「何者って…ただの課長ですけど?」 コーヒーを一口飲んで、課長が面白そうに笑った。

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