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第377話

瑞季君の件も解決して、俺の心も軽やかになり、あとは二週間後に迫った結婚式に想いを馳せる…そんな日々が続いていた。 ところが、翔が浮かない顔をしている。仕事で何かあったのか?それとも…やっぱり結婚式が嫌になった? 怖くて聞き出せない…俺もいつもと違っていたのだろう。凛がそんな様子の俺達を見るに見かねたのか 「しょう、なんでそんなかおしてるの? もうすぐけっこんしきなんでしょ?どうして?」 俺の代わりに聞いてくれた!凛!ナイスアシスト! ホントにこいつは時々人の心が読めるエスパーかと思う時がある。 頭をかしかしと掻いて、翔がむくれたように 「今晩言おうと思ってたんだ…結婚式前に出張になって…」 え…出張? 「どこに?いつまで?」 「アメリカ…来週から結婚式の前日まで一週間…」 「え?アメリカ?海外?前日?なんで?」 クエスチョンマークだらけで矢継ぎ早に質問する俺の手をぎゅっと握って 「あのおっさん絡みなんだよ…くっそ。 俺の店の予約も勝手に全部キャンセルしやがって。 ホントは、ちゃんと決まってる人がいたんだけど、事故で入院しちゃったんだ。 それで、白羽の矢が当たったのが俺。 断固拒否したんだぜ? だって結婚式だよ?俺達の大切なっ!! それでも権力を盾にしやがって… 周りからの包囲網で、どうしても行かなきゃならないようになっちまってさ… ごめん、大事な時に。」

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