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第378話

『あのおっさん』…あぁ、この国の最高権力者ね。 それにしても…式が嫌になったのでなくてよかった… 「仕方ないよね…翔、仕事だもん。 俺は、てっきり結婚式が嫌になってしまって悩んでるのかと…」 「 嫌になんて!!そんなバカなことあるわけないじゃないかっ!俺がどんなに楽しみにしてたか… 智と前日まで会えないんだぞ? こんな理不尽なことがあってたまるかよっ。」 涙目で翔が訴える。 「翔…俺、ちゃんと待ってるから…頑張って仕事しておいでよ。 もう、打ち合わせは十分してくれてるんだろ?あとは当日俺達三人が行けばいいだけだろ? じゃあ俺も凛も、不安はないよ。 なあ、凛。」 「うん!りん、だいじょうぶよ! さとしのことは、りんにまかせて!へんなむしがつかないようにちゃんとみとくから!」 「「『変な虫』って!?」」 うふふっと謎の笑みを浮かべる凛に、俺達は顔を見合わせた。 「その仕事受けたんだろ?」 黙って頷く翔。 「じゃあ、しっかり仕事してきなよ。 帰ったら…結婚式だ。お前の帰りを凛と二人で待ってるから。 たった一週間じゃないか。これから先、嫌でもずっと一緒なんだぞ? 俺も…我慢するから、お前も…」 翔がらぎゅっと抱きしめてきた。

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