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第381話
翔の出張を聞いてから一週間は慌ただしくも普通に過ぎていった。
やたらと俺にくっ付きたがる翔を仕方なくあやしては、俺もぴったりとくっ付き、今回に限って凛も毒舌を吐かずに、俺達のラブラブ振りを静観していた。
夜は…
離れたがらない翔に抱き込まれ、時々啼かされ、身体中に翔のものだという印を付けまくられた。
白い肌に浮き上がる赤い斑点を見ながら、一週間経てば、これも消えてしまうのか…と物悲しい気分に襲われる。
その印をそっとなぞりながら、翔への愛おしさが増していく俺だった。
そして
とうとう翔の出発の日がやってきてしまった。
俺と凛は、いつものように出かけなければならない。
「翔、ごめん。見送りできなくて。」
「わかってるって。毎日電話するからな。
何かあればすぐ電話してくれ。
絶対前日には戻るから…
愛してるよ、智。行ってきます。」
「うん、気を付けて。
今度会う時は…結婚式だな…楽しみにしてる。
翔、愛してる。行ってらっしゃい…」
翔の両手が伸びて俺を捕まえる。俺もその身体に全身を絡めて、自然に寄っていく唇を合わせると優しく激しく、長いキスをした。
しばらくそのまま動けず、やっとの思いで唇を離し、ちゅっと大きなリップ音を残して翔が笑った。
「愛してる…行ってくるよ…」
俺は黙って頷き、名残惜しく、後ろ髪を引かれる思いでドアを閉めた。
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