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第384話

あー、課長って、やっぱりサイコー!! 翔に出会ってなかったらきっと惚れてたかな?…と思う。 ちょっと元気出てきたし、残りの仕事やっつけよう! 「一件、出てきまーす!」 「はいよ。行ってらっしゃい。気を付けてなー!」 「はいっ!行ってきます!」 お得意様に顔出して不都合がないかご機嫌伺い。定期的な訪問が次回の仕事にも繋がるのだ。 たわいない冗談に愛想笑いをして、話を合わせるのも今日は少し辛い。 相手先を出た時には午後のティータイムに丁度良い時間だった。 ちょっと息抜きしよう。 小洒落たカフェに立ち寄ると、携帯を取り出した。 あっ、翔からのメール! 『しっかり仕事してくるから心配しないで! 凛のことも頼むな。 智、愛してるよ。』 心がほっこりしてくる。急いで返信。 『俺達のことは心配しないで仕事に集中して! 翔、俺も愛してるよ。』 窓の外には青空が広がっている。その先に翔がいるどこかの空と繋がってるんだなと思うと、何だかうれしくなった。 少し冷めたコーヒーを流し込んで店を出た。 ちょっと前から感じてた違和感…俺が一人もしくは凛と一緒の時に、誰かの視線を感じていた。 近付くわけでもなく、離れるわけでもなく、一定の距離を保ちながら。 翔がいない時に何だか嫌だなと思いながら、あの拉致された最悪の場面が蘇り、ふるりと身体を震わせ、気をしっかり保とうと歩き出した。

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