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第391話
なんか、ものすごく疲れた。
凛と一緒に風呂に入り、お休みのちゅーをして寝かせると、ワインとチーズを出してきて一人で飲む。
俺達にSPがついてて向こう三年間護衛されて、それを依頼したのが翔の『高名な』お客さんで、そのうちの誰かが翔の本当の父親かも…なんて。
翔…翔はどう思ってるんだろう。
それを知っててアメリカに同行してるんだよな?
『父親が誰か、調べようとか復讐しようとかそんな気持ちはもうない』って言ってたけど、この仕事をしているうちにお互いの素性がわかってしまったのかもしれない。
名乗れない親子…DNA鑑定すればすぐわかるんだろうけど、きっとその三人は敢えてそれをせず、三人共通の罪の意識を抱えたまま翔のバックアップを一生していくのかもしれない。
そして
翔もそれをさりげなく受け入れて、その罪を浄化させていくのだろう。
ならば…俺が口を挟むことは何もない。
俺ができるのは、傷付いた翔を抱きしめて休ませてやることくらいだ。
無限に広がる愛情で包んで与えてやることしかできない。
あぁ、早く会いたいなぁ。
と、そこへ軽快なメロディが。翔?
「もしもし、翔??」
「さーとーしーぃ。会いたいよぉー。智が足りなくてイライラしてる。早く抱きしめたい!」
「ふふっ。俺も早く会いたいって思ってたんだ。
どう?順調?」
「ああ。仕事はすこぶる順調。今どこ?リビング?」
「うん。ワイン飲んでる。」
「…ねぇ、部屋に戻って。」
「え?なんで?」
「いいから、早く。」
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